Голос сталі... Україна (The Voice of Steel...Ukraine)
民族楽器の美しくむしろ踊るような、ブラックメタルと言うには陽気にすら聴こえるイントロから、奔流のように叩きつけるリフが突如打ち寄せる。跳ねる足取りのまま、ヴォーカルが叫び出す。吐き出す怒声に応じるかのように繰り出されるコーラスは訴えるように、その醜美は絡み合って、そしてサビへと叙情的な高まりを支える。サビはほとんど優しく流れるかのようなメロディアスなコーラス、透明感のあるシンセ(?)の輝く音色に乗って聴く者を遠い東欧の風の中へ連れ出す。続く間奏へとその風は残り、しかしディストーションされたギターのメロディーがその秘めたる暴力性を教えてくれる。
いやぁやっぱいいですねぇNokturnal Mortum。荒々しいのに美しい、とにかくメタル的な美と暴虐を載せたフォークサウンドの傑作ですよね、大好き。こいつら天才かよ。
Nokturnal Mortumは、そもそもメタル界でもマイナーかつ闇深い東欧ブラックメタルバンドの一つとしては、日本でもわりと名の知られたブラックメタルバンドである。いや、NSBM(ナショナル・ソーシャリスト・ブラック・メタル)と呼ぶべきか。音楽的には所謂ペイガンメタルやヴァイキングメタルの影響を受けたブラックメタルのスタイル、そしてその歌詞や世界観からは、ネオナチへと通じる思想を滲ませる。それも仕方ないのかもしれない。彼らは今も安定とは程遠い、ウクライナ出身のメタルバンドなのである。
公式のフェイスブックでは、戦闘続く祖国のニュースをシェアすることもあり、FBのタイムラインにトラックへ満載された死体の画像が流れてくるというなかなかレアな経験をさせてくれるアツいバンドなのだが、Wikipediaによると一応バンドとしては政治的なことに関わってはいないらしい…嘘つけw
実はフィンランド留学中国内であったブラックメタルフェスにNokturnal Mortumも出てて、行こうか迷ったんですが「もしかしてガチのネオナチみたいな奴が集まってて殴られそう」とビビってとりあえず止めました。普段どんなにごついメタル野郎がたむろしてる場所でも怖くないし普通に誰も襲ってこない(当たり前だwむしろ優しい)のだが、NSBMこわい。1人じゃなかったら行ったかもしれないが…。でもNokturnal Mortumは一回見てみたい。
というわけで、かねてより欧州で初の日本人Ásatrú(じゃなくてもいいけど、北欧系のペイガニズム)司祭になりたい私としては、この辺の話には興味があるんですがね。それで、だいぶ前に買ったこれもずっと積読なのでそろそろ読まないと…。
ブラック・メタルの血塗られた歴史 (Garageland Jam Books)
- 作者: マイケルモイニハン,ディードリックソーデリンド,島田陽子
- 出版社/メーカー: メディア総合研究所
- 発売日: 2009/01/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 3人 クリック: 40回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
あと世の中にはこんな論文もあるらしいんですが…。
…大学こういうのせめて学内PCから読めるようにしてほしいんですけど!個人で課金するのキツいんですがね!どうですかご予算の方は!
そういえばインターネットで海外の人とチャットしている時に、何度かPaganやOdinistを名乗りそういったコミュニティにも所属しているという人ともやり取りしたことがあるのだが、用がないとメッセージ送らない人種なので、もう1年くらい彼らともやり取りしていない…たまに何か送ってみようかなあ。もう忘れられているかも知れないが…。